事業内容
2021/09/06
曳家工事
今回、曳家を伴う公共工事を行いました。
曳家(ひきや)というあまり聞きなじみのない言葉ですが、まず曳家という言葉の意味から説明することにします。
曳家とは、建築物をそのままの状態で移動する建築工法です。その歴史は古くピラミッドやストーンヘンジ・万里の長城の増築工事の際に巨石を移動させたことにさかのぼる事ができるといいます。※ただしこれらの技術においては、諸説あるものの完全な技術は伝わっておらず、詳細は不明とのことです。
日本における曳家の技術も5世紀から7世紀頃には使用されていたといい、江戸時代には算段師という重量物の運搬を生業とする職業が登場します。曳家としての需要の高まりを見せたのは戦後復興期で近代化する日本において最盛期を迎えました。
現代でも、当時の技術をさらに発展させて鉄筋コンクリート造のビルを地下室ごと移動させたり、建築物内の業務を継続しながら移動させた例などが見られます。(Wikipediaより引用)
今回の工事は、2016年4月に発生した熊本地震に伴う仮設住宅団地内に作られた集会場を曳家工事により移設し、別の用途として活用するというものでした。
熊本地震からの復興に寄与してきた建物を、ニーズに合わせて再使用する取り組みは、熊本地震の記憶の風化防止や環境保護の観点からも意義のある事業だと思います。
さて、前置きが長くなりましたが実際曳家工事を行った写真が以下になります。
ジャッキアップした建物を鉄骨のレールに載せ、建物とレールの間に台車を敷きウインチにより移動させるという流れです。
土台の下にH形鋼を敷き込みます。元来仮設の集会場であった為、基礎部分は木杭になっていました。
次に移設用のレールを建物の下へ潜り込ませ移動させます。
新たに新設した基礎の上に建物を載せ、土台アンカーボルトで建物を固着し移設完了です。
本工事ではさらにウッドデッキの設置やスロープの新設により、利用しやすい施設となりました。